不妊治療において漢方で保険適用される薬は?費用とクリニック選びの注意点

著者:北堀江アクア鍼灸治療院

妊活や不妊治療を始めたばかりの方の中には、「漢方薬って本当に効果があるの?」「病院で処方されるものと市販薬ってどう違うの?」と迷っていませんか。さらに、「保険は適用されるの?」「費用はどれくらいかかるの?」といった金銭面の不安もつきまといがちです。

 

実際に、不妊症の治療において漢方薬を併用するケースは増加しており、全国の婦人科クリニックの約3割が東洋医学を取り入れた診療を行っています。身体の冷えやホルモンバランスの乱れ、月経不順、排卵障害など、西洋医学だけでは対応が難しい症状に対して、漢方は体質改善という観点からサポートが可能です。

 

また、生薬の種類や処方のタイミング、診療科によって保険が適用されるか否かが変わる点も、治療を検討する上で押さえておきたい重要なポイントです。誤った情報や判断で「本来なら保険適用だったはずの処方薬を自費で購入していた」といった損失も起こり得ます。

 

この記事では、保険が適用される漢方薬の具体例や診療科との関係、さらに市販薬との違いや費用感までを専門的かつわかりやすく解説します。最後まで読むことで、「どこで・何を・どう処方してもらうべきか」がクリアになり、不妊治療に対する不安や迷いが軽減されるはずです。

 

不妊治療専門の鍼灸で健康な妊娠をサポート – 北堀江アクア鍼灸治療院

北堀江アクア鍼灸治療院は、鍼灸を通じた不妊治療に特化し、平均3か月での妊娠達成を目指しています。身体の自然な力を引き出すため、独自の東洋医学的アプローチを採用し、心身のバランスを整えることに重点を置いています。個々の状態に応じた治療プランを提供し、患者様の健康的な妊娠と出産をサポートいたします。不妊にお悩みの方に安心と効果を提供するため、最新の知識と技術を駆使し、丁寧なケアを心がけています。

北堀江アクア鍼灸治療院
北堀江アクア鍼灸治療院
住所〒550-0014大阪府大阪市西区北堀江1丁目13−4 サン・システム堀江公園前ビル 9階
電話06-6643-9645

ご予約・お問い合わせ

不妊治療における漢方の役割とは?体質改善を基盤とした東洋医学の視点

漢方が目指す不妊治療の本質と西洋医学との違い

不妊治療に漢方を取り入れる理由は、単に妊娠という結果だけを求めるのではなく、その「過程」における体の根本的なバランス改善を目的とする点にあります。西洋医学では主に排卵誘発やホルモン補充といった“結果に直結する施術”が中心ですが、漢方医学では「気」「血」「水」の調和を図ることで、妊娠力を底上げしていきます。これは、妊娠を“可能にする土台作り”とも言えるでしょう。

 

漢方では、身体全体をひとつの統合的なシステムと見なし、不妊の原因を以下のように分類します。

 

漢方が捉える不妊の主要タイプと対応の考え方

 

不妊の漢方的分類主な症状例代表的な処方例
血虚タイプ顔色が悪い、月経が遅れる、疲れやすい当帰芍薬散、四物湯
腎虚タイプ生理が不規則、腰がだるい、冷えが強い八味地黄丸、温経湯
気滞タイプイライラ、胸のつかえ、月経痛加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯
瘀血タイプ生理痛が激しい、血塊が多い、顔色が暗い桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯
湿熱タイプ帯下が多い、においが強い、下腹部の重だるさ竜胆瀉肝湯、柴苓湯

 

このように漢方では、一人ひとり異なる「体質」や「生活背景」に着目し、オーダーメイド型の治療を行います。これは不妊治療における「副作用を最小限に抑えながら、体全体を整える」非常に合理的な方法でもあります。

 

特に、冷えやストレスによって排卵がうまくいかない女性、ホルモンバランスの乱れによって月経が不安定な方には、漢方が持つ“自律神経へのアプローチ”が高い効果を発揮します。西洋医学では血液検査や画像診断で「異常がない」とされても、実は「気の巡り」や「血の不足」が原因だったというケースも多く見られます。

 

さらに、漢方は長期的視点での健康管理にも適しており、妊娠後も体調を維持しやすいという点で支持されています。近年では、鍼灸治療と併用することで「冷え」「血行不良」「胃腸の虚弱」なども改善し、よりスムーズな妊娠に繋がったという報告も増えています。

 

西洋医学と比較した際、治療にかかる即効性では後れを取るものの、「根本から整える」「リバウンドしにくい」「体の声に耳を傾ける」といった特徴は、現代の妊活女性の間で確実に評価を高めています。

 

漢方治療において重要なのは「自分の体質を正確に知ること」です。血液検査の数値だけではわからない冷えや気滞、血行障害などを可視化できる「漢方的体質診断」は、不妊治療における最初の一歩として非常に有効です。

 

不妊治療に対する不安や焦りは、結果が出ないことへのストレスとなり、さらに身体を冷やす要因となる場合もあります。漢方はそうした「心と体の連動」にも着目し、妊娠しやすい環境を整える全人的な医療を提供しているのです。

 

東洋医学の視点で見る妊娠力とは何か?

東洋医学では「妊娠力」という概念は、単に卵子や子宮の状態を表すのではなく、「腎」「肝」「脾」など臓腑の総合的なバランスのうえに成り立つ力と考えられています。これらの臓腑がうまく連携し、それぞれの働きが最大限に発揮されたときに、妊娠力が自然に高まるとされています。

 

東洋医学における主な妊娠力に関わる臓腑の役割は以下のとおりです。

 

妊娠力に関わる主要な臓腑と機能

 

臓腑主な働き妊娠との関係
生殖・発育の基礎卵巣機能、ホルモンバランスの源とされる
血の貯蔵、気の巡り月経周期や情緒の安定に大きく関与
消化吸収・栄養運搬子宮への血液供給や基礎体温の安定に関与

 

特に「腎の虚」は不妊治療において最も注目される体質のひとつで、年齢を重ねた女性や生理周期が乱れがちな方に多く見られます。腎の働きが低下すると、生殖機能が全体的に低下するため、漢方では「補腎」を重視する処方が行われます。

 

また「肝」は気血の流れを司る重要な臓腑であり、精神的ストレスが強い場合や、感情の起伏が激しい方は「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と診断されることがあります。これがホルモンバランスや排卵に悪影響を及ぼし、不妊の一因となるのです。

 

加えて、「脾」は体力や栄養状態と直結し、基礎体温が不安定な女性や、食が細い・疲れやすいなどの体質に影響します。妊娠には安定したホルモン分泌と十分なエネルギーが不可欠であるため、「脾虚」も不妊の原因として捉えられます。

 

妊娠力を向上させるためには、こうした「五臓六腑」の働きを整えることが最優先です。そのためには、生活習慣・睡眠・食事・ストレス管理などの「養生」が不可欠であり、これを土台にして漢方薬による処方が効果を発揮します。

 

例えば、冷え症のある人には温経湯や当帰芍薬散が処方され、ストレスが強いタイプには柴胡加竜骨牡蛎湯が有効です。これらの処方は、単に「症状」に合わせるのではなく、「体質と背景」に基づいて選ばれる点が西洋医学との大きな違いです。

 

さらに、現代の東洋医学では「基礎体温のグラフ」や「月経周期表」などを活用した診断も広く行われており、具体的な体の状態を可視化しながら「妊娠力の底上げ」をサポートしています。

 

これにより、患者自身も自分の体を客観的に見つめ直し、必要なケアや生活改善を継続的に実践しやすくなります。妊娠とは単なるゴールではなく、「整った身体と心が迎える結果」であるという、東洋医学ならではの視点が、多くの女性たちに新しい気づきを与えているのです。

 

症状・体質別に見る漢方薬の処方例

冷え性・月経不順タイプに使われる漢方薬の特徴

女性の不妊治療において「冷え」は見過ごされがちな大敵です。特に日本人女性には、体質的に冷えを感じやすく、血行不良や代謝の低下、子宮の温度低下が排卵や受精環境の悪化を招くケースが多く報告されています。こうした背景から、漢方では冷え性や月経不順を抱える女性に対して、子宮や卵巣の血流を促し体質を根本から改善する処方が数多く存在します。

 

とくに有名な処方が「当帰芍薬散」「温経湯」「加味逍遙散」です。これらはすべて冷えや血虚、気虚といった症状に対し、体を温めながら血流を改善することに主眼を置いています。

 

以下は代表的な処方例の比較です。

 

漢方薬名主な構成生薬対応する症状特徴
当帰芍薬散当帰・芍薬・茯苓・白朮など冷え性、貧血、むくみ、月経不順血虚・水滞タイプ向け。体力が弱く、冷えが強い女性に適する
温経湯当帰・桂皮・麦門冬・牡丹皮など月経困難症、冷えのぼせ、経血量が少ない子宮を温める働きが強く、寒冷刺激に敏感なタイプに対応
加味逍遙散柴胡・芍薬・当帰・薄荷・生姜など更年期障害、イライラ、冷え、倦怠感気滞やストレス性冷えに対してバランスを整える

 

これらの処方は、それぞれ異なる体質や症状に合わせて用いられますが、共通して「気・血・水」の巡りを改善し、妊娠しやすい身体を整える点にあります。特に当帰は血液を補いながら流れを促進する作用があり、芍薬は筋肉の緊張をほぐし、痛みを緩和します。こうした成分が協調的に働くことで、女性ホルモンのリズムや基礎体温の安定化が期待できます。

 

冷えにより骨盤内の血流が滞ると、卵巣や子宮への栄養供給が低下し、排卵障害や内膜の発育不全を引き起こすリスクがあります。そのため、これらの漢方薬は妊活を始める前の「体質改善段階」での活用が多く、服用のタイミングや期間についても医師や薬剤師としっかり相談することが推奨されます。

 

服用には一定期間が必要であり、数週間から数ヶ月の継続により効果が現れることが一般的です。なお、西洋薬との併用が可能な場合もありますが、副作用や成分の重複には注意が必要です。自己判断での服用ではなく、専門の漢方医または婦人科医と相談しながら選択を行うことで、より的確な処方と効果が得られます。

 

ホルモンバランス型への処方例

女性の妊娠力には、排卵の正常なサイクルとホルモンのバランスが欠かせません。月経不順の中でも特に排卵障害や黄体機能不全は、不妊症の原因として広く知られています。このようなケースでは、ホルモン補充や排卵誘発といった西洋医学的治療が主流ですが、東洋医学では「気・血・水」の巡りを整え、ホルモンバランスを内側から整えるというアプローチがとられます。

 

漢方の視点から見た場合、ホルモンバランスの乱れは「肝」「腎」「脾」といった五臓の不調に基づくとされ、それぞれに対応した処方が選ばれます。とくに「桂枝茯苓丸」や「加味逍遙散」は、排卵に関わるホルモンリズムの安定化や、基礎体温の二相性の回復を促す目的で多く用いられています。

 

以下に主な処方とその特徴を示します。

 

漢方薬名主な構成生薬対応する状態特徴
桂枝茯苓丸桂皮・茯苓・牡丹皮・桃仁など排卵障害、子宮内膜症、PMS瘀血(血行不良)タイプ向け。血の巡りを改善し子宮環境を整える
加味逍遙散柴胡・当帰・芍薬・茯苓などPMS、イライラ、月経前症候群情緒の不安定やストレス性ホルモン乱れに対応
温経湯当帰・川芎・桂皮など黄体機能不全、月経周期の乱れ子宮を温めながら内分泌を安定化する作用がある

 

ホルモンバランス型の不妊症では、PMS(月経前症候群)や月経時の不調、基礎体温の不安定さが目立ちます。これらは「肝気鬱結」や「血瘀」に起因するものと解釈され、それに応じた漢方の処方が行われます。たとえば、桂枝茯苓丸は子宮周囲の血流を改善することで、排卵障害や月経痛に効果を発揮します。

 

加味逍遙散は、特にPMS症状を強く感じるタイプやストレスによりホルモンが乱れやすい女性に適しています。精神的な安定を取り戻しながら、自律神経とホルモンのバランスを穏やかに整える働きが期待されています。

 

また、黄体機能不全に悩む方には温経湯が処方されることが多く、子宮内膜の発育を助け、着床環境を整える目的で使用されます。これにより、妊娠維持のための基礎的な体質改善が期待されます。

 

このようにホルモンバランスに起因する不妊症では、単なる対症療法ではなく、長期的かつ包括的な治療計画が求められます。漢方薬はその一助となる存在であり、患者の証(体質や症状のパターン)に合わせて的確な処方を選ぶことが重要です。

 

なお、漢方薬は保険適用が可能なものもあり、医師による処方を受けることで経済的負担を軽減することもできます。また、副作用や体調変化の確認のため、定期的な診察や体調管理が求められます。漢方薬の服用開始後は、1~3ヶ月を目安に効果の現れを確認しながら、必要に応じて処方内容を調整していきます。

 

西洋医学と漢方治療を併用するメリット

併用時の服薬タイミングと注意点

不妊治療の現場では、人工授精や体外受精などの西洋医学的アプローチが主軸として活用されています。一方で、漢方薬の併用によって妊娠率の向上や副作用の緩和が期待されており、両者の融合は高い相乗効果を生む可能性があります。ただし、併用にはいくつかのタイミングと注意点が存在し、専門医や薬剤師と密接に連携することが不可欠です。

 

まず、排卵誘発剤との併用について。排卵誘発剤はホルモンバランスに大きく影響を与えるため、体内の「気」「血」「水」の巡りにも変化を生じさせます。この際、漢方では「補腎」「活血」「疎肝」といった処方が用いられますが、採卵前後のタイミングでは、特定の生薬成分がホルモン療法と相反する場合があるため注意が必要です。

 

特に以下のような状況に注意が求められます。

 

漢方薬併用における注意点推奨される対応
桂枝茯苓丸採卵前後に服用すると子宮収縮の可能性採卵後1週間は休薬を検討
柴胡加竜骨牡蛎湯排卵誘発剤との相互作用の可能性あり投与時期を医師と調整
当帰芍薬散ホルモン療法と併用しても比較的安全通常通り服用可能だが、体調変化には注意

 

また、体外受精においてはホルモン補充の期間が明確に設定されているため、その間の服薬タイミングを厳密に管理する必要があります。採卵前は「補腎」「活血」系の処方で子宮・卵巣機能を底上げし、胚移植後は「安胎」や「補気補血」処方に切り替えるなど、ステージごとの対応が求められます。

 

服用時の主な疑問に対しては以下のように整理できます。

 

  1. 服薬時間帯はいつがよいか
     →漢方薬は基本的に空腹時が理想ですが、胃腸の弱い方は食後に変更可能。西洋薬との時間間隔は30分以上空けるのが望ましい。
  2. 一時的な体調変化(胃もたれ、眠気)はどう判断すべきか
     →体質による一過性の可能性もあるが、2週間以上続く場合は中止し再評価。
  3. 医師に相談すべきタイミングはいつか
     →漢方薬の追加・中止を検討する際、また人工授精・採卵・移植の時期に入る前には必ず報告。
  4. 妊娠後の継続服用は可能か
     →処方内容により異なる。安胎作用のある処方(例:当帰散)などは妊娠初期でも継続可能な場合がある。

 

また、保険適用の有無も服用の継続性に大きく関わるため、事前に医師と薬剤師への確認が重要です。多くの漢方薬は保険適用範囲内で処方可能ですが、生薬の量や製剤形態によっては適用外になるケースもあります。金銭的な負担や服用の継続性を考慮し、あらかじめ見積もりや費用説明を受けておくと安心です。

 

服薬の継続には最低でも3ヶ月を目安とするのが一般的であり、体質やホルモンバランスの調整には時間が必要です。西洋医学と異なり、即効性は高くない反面、全身の根本改善に導く点が漢方の特徴です。治療効果を最大化するには、ライフスタイルや食事、睡眠、ストレス管理も併せて見直すことが重要となります。

 

実績あるクリニックと連携した症例紹介

体外受精や人工授精といった高度生殖医療において、漢方薬を併用した症例が増えています。特に、体質や冷え、ホルモンバランスの乱れが影響する不妊症例では、西洋医学単体では改善が難しかったケースでも、漢方による体質改善が加わることで成功率が向上する傾向が見られます。ここでは、複数の医療機関が報告している症例と併用の実績をもとに、具体的な活用例を紹介します。

 

実際の臨床現場での併用成功例をまとめると、以下のような傾向が確認されています。

 

症例の概要併用された漢方薬施術内容結果
38歳・体外受精3回目温経湯・当帰芍薬散胚移植(凍結胚)妊娠継続確認
34歳・黄体機能不全加味逍遙散・桂枝茯苓丸人工授精(AIH)妊娠8週目到達
40歳・高FSH値補中益気湯・八味地黄丸体外受精+鍼灸併用着床成功・妊娠継続中

 

特筆すべきは、40歳以上の高年齢であっても、漢方を併用することで卵巣機能の維持やホルモン反応の改善が見込まれた例が存在する点です。これにより、採卵数の増加や胚の質の向上が確認されたという報告もあり、特に腎虚・血虚タイプの体質に適応する処方が好成績を生んでいます。

 

クリニックとの連携体制についても重要です。たとえば、大阪や東京に拠点を持つ不妊専門クリニックの一部では、院内に漢方薬局を併設したり、専門の薬剤師や鍼灸師と定期カンファレンスを設けるなど、統合医療の実践が進んでいます。これにより、以下のようなメリットが明確化されつつあります。

 

・ホルモン療法の副作用軽減(胃腸の不調、眠気、気分変調など)
・冷え性や月経不順といった基礎疾患の改善
・自律神経の安定により睡眠の質が向上し、妊娠力が全体的に高まる
・患者の不安軽減と精神的支援につながる

 

こうした実績を通じて、漢方は単なる「補助」ではなく、「治療を成功に導くための本質的支援」であると再評価されています。

 

また、成功症例の共通点として、以下が挙げられます。

 

  1. 定期的な基礎体温の記録と見直しによるホルモン反応の確認
  2. 西洋薬と漢方薬の服薬スケジュールを詳細に管理
  3. 食事・睡眠・ストレスコントロールの指導と一体的な対応
  4. 夫婦での治療参加による妊活サイクルの統一

 

このように、専門機関と薬局、患者が一体となって取り組むことで、より精度の高い治療計画が可能になります。

 

さらに、最近では公的機関によるエビデンスも蓄積されています。日本東洋医学会の報告では、漢方薬を併用した体外受精群の妊娠率が、非併用群と比較して有意に高かったという臨床研究が公開されています。こうした公的データの活用により、信頼性の高い情報提供が求められる現在においても、漢方の有効性がより明確になりつつあります。

 

高齢や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、通常の治療だけでは限界があるとされる症例においても、東洋医学の視点からアプローチすることで、新たな可能性が開けるケースが増加しています。読者が自身の体質や不妊の原因と向き合うきっかけとして、漢方の視点を取り入れた総合的な治療を検討することは、大きな一歩となるでしょう。

 

不妊治療に使える漢方薬は保険適用される?費用・処方ルート・注意点を比較

病院処方と保険対象の漢方薬一覧

不妊治療に漢方薬を取り入れる場合、保険が適用されるかどうかは大きな関心事です。結論から言うと、日本国内で医師の診療を経て処方されたエキス製剤(一部例外あり)は、保険適用されることが多く、患者の経済的負担を大きく軽減できます。

 

保険適用される漢方薬の中には、婦人科系疾患や不妊症の体質改善を目的とした処方が多数存在します。下記のような漢方薬は、厚生労働省により医療用医薬品として認可されており、ツムラやクラシエといった信頼できる製薬メーカーが供給しています。

 

以下は、不妊治療で頻用される漢方薬の一部と、それらが保険適用される診療科目の例をまとめた表です。

 

ツムラ番号漢方薬名適応症例主な診療科保険適用の可否
23当帰芍薬散月経不順、貧血、冷え、不妊症婦人科
24加味逍遙散更年期障害、月経不順、イライラ婦人科、心療内科
25桂枝茯苓丸月経困難症、子宮筋腫、下腹部の重だるさ婦人科
102温経湯冷え性、月経不順、不妊症婦人科
26柴胡加竜骨牡蛎湯ストレス性不調、男性不妊泌尿器科、心療内科
7八味地黄丸精力減退、頻尿、腰痛、男性不妊症泌尿器科

 

保険適用のためには、医師の診察を受け、適応症に基づいた処方が必要です。特に婦人科や泌尿器科、心療内科の診療では、不妊症に関係する体質・症状が診断されやすく、該当漢方の処方に繋がりやすいという点が特徴です。

 

一方で、自由診療のクリニックや鍼灸院が取り扱う漢方薬には、保険が適用されないケースもあります。処方前に診療科と制度適用範囲の確認が不可欠です。

 

また、保険適用となる漢方薬は原則として「エキス剤(粉薬など)」に限られ、煎じ薬やサプリメントタイプ、特殊な生薬調合は保険外となる場合があります。

 

市販薬や通販製品との違いとリスク

医師の処方を伴う保険適用の漢方薬と、市販や通販で入手できる製品には明確な違いがあります。これらを比較し、服用上の注意点を以下に整理します。

 

比較項目医師処方の漢方薬市販薬・通販製品
成分の濃度医療用で高濃度一般用でやや抑えられている
品質管理厚労省基準に準拠製品によって差がある
医師の診断有り(問診・診察あり)なし
保険適用〇(診療科による)×
処方の個別最適化可能(体質に応じて)一律の配合
服薬指導医師・薬剤師から指導なし(自己判断)

 

市販薬は手軽に購入できるメリットがありますが、自己判断による誤った使用は、症状の悪化や副作用リスクにつながることがあります。特に妊活中やホルモンバランスが不安定な時期の自己服用には注意が必要です。

 

保険適用外の通販製品には、サプリメント型の「漢方風」製品も存在しますが、成分や用量が曖昧なこともあり、臨床的な効果が十分に証明されていないケースも見られます。

 

一方で、医師の診察を受けた上で処方される漢方薬は、体質や症状に応じて最適化されており、西洋医学との併用も考慮した設計となっているため、信頼性が高いといえます。

 

初回処方に必要な費用感と通院頻度

漢方薬を保険適用で処方してもらう場合でも、診察料や調剤料は発生します。特に初診時には検査やカウンセリングなどが加わることもあり、1回あたりの費用目安は以下の通りです。

 

項目費用目安(3割負担の場合)備考
初診料約900~1200円病院・診療所によって変動
処方料+調剤料約500~800円(14日分目安)薬局での支払い
検査(必要時)血液・ホルモン検査等:1000円~血中FSH・LHなど
再診料(2回目以降)約400~700円継続処方のみの場合

 

自費診療の場合、クリニックによって1回の診療費が3,000円~10,000円を超えることもあります。特に漢方専門医や鍼灸院での漢方処方は、煎じ薬による対応が中心となり、1日500円前後のコストがかかる場合もあるため注意が必要です。

 

保険適用の通院頻度としては、初回診察後に14日分処方され、次回通院で継続可否を判断するケースが一般的です。その後は28日分処方に移行し、月1回の通院ペースになることが多い傾向にあります。

 

また、漢方薬の効果は即効性よりも「体質改善」や「ホルモンバランスの調整」を目的とするため、継続的な服用と診療が大切です。途中での中断や自己判断による変更は避け、必ず医師の指導を受けることが望ましいです。

 

保険診療におけるメリットは、継続的な指導のもとで症状改善と経済的負担軽減を両立できる点にあり、安心して長期的に取り組める環境が整っています。特に、婦人科や不妊外来における診療連携が進んでいる医療機関では、治療の一貫として漢方を採用している例も増加しています。

 

まとめ

不妊治療において、漢方薬は「身体の内側から体質を整える」という独自のアプローチで、多くの女性やカップルから注目を集めています。とくに月経不順や冷え、排卵障害、ホルモンバランスの乱れといった症状を抱える不妊症患者にとって、西洋医学との併用による相乗効果が期待されるケースも少なくありません。

 

保険適用のある漢方薬を病院で処方してもらうには、婦人科や内科など、適切な診療科の受診が前提となります。たとえば、ツムラの柴苓湯や当帰芍薬散などは、医師の判断により必要性が認められた場合、保険が適用される可能性があります。保険適用の対象は処方目的や診療報酬の範囲によっても異なるため、信頼できる医師やクリニックでの相談が不可欠です。

 

一方、市販薬や通販製品は手軽に購入できる反面、有効成分の濃度や服用量に制限がある上、自己判断による使用リスクも無視できません。医師の診断に基づかない選択は、副作用や費用面での損失につながることもあり得ます。実際に、漢方薬の不適切な自己服用が症状の悪化を招いたという報告もあります。

 

不妊治療における漢方の活用は、単なる「自然療法」ではなく、医学的知見と体質改善の融合による根本的な支援策の一つです。信頼できる医療機関と連携し、自身の体調や生活習慣に合わせて無理なく取り入れることが、最も効果的で賢明な選択につながります。無計画な服用を避けるためにも、正しい情報と医師の診療による判断を優先しましょう。

 

不妊治療専門の鍼灸で健康な妊娠をサポート – 北堀江アクア鍼灸治療院

北堀江アクア鍼灸治療院は、鍼灸を通じた不妊治療に特化し、平均3か月での妊娠達成を目指しています。身体の自然な力を引き出すため、独自の東洋医学的アプローチを採用し、心身のバランスを整えることに重点を置いています。個々の状態に応じた治療プランを提供し、患者様の健康的な妊娠と出産をサポートいたします。不妊にお悩みの方に安心と効果を提供するため、最新の知識と技術を駆使し、丁寧なケアを心がけています。

北堀江アクア鍼灸治療院
北堀江アクア鍼灸治療院
住所〒550-0014大阪府大阪市西区北堀江1丁目13−4 サン・システム堀江公園前ビル 9階
電話06-6643-9645

ご予約・お問い合わせ

よくある質問

Q. 男性不妊にも漢方薬は効果がありますか?どのような処方が一般的ですか?

 

A. 男性不妊の改善に対しても漢方薬は有効とされており、精子の数や運動率の低下、性機能の衰えなどに対して柴胡加竜骨牡蛎湯や八味地黄丸、補中益気湯などがよく使われます。これらの処方は、ストレス性のホルモンバランス異常や加齢による腎虚に対する改善を図るもので、1日2回または3回の服用で体質を徐々に改善するアプローチが取られます。生活習慣改善と併用することで、精液所見の向上や性機能回復が報告されています。

 

Q. 漢方薬による不妊治療は、どれくらいの期間続ければ効果が出てきますか?

 

A. 一般的には、漢方薬による体質改善には最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の継続服用が必要とされています。特に血虚や腎虚などの慢性的な体質に基づく不妊症状では、効果が現れるまでに時間を要するため、1ヶ月単位の変化よりも基礎体温や月経周期、排卵の安定などを指標として中長期的に経過を追うことが重要です。継続的な服薬管理と医師・薬剤師のフォロー体制があることで、副作用のリスクも抑えながら安全に続けられます。

 

Q. 不妊治療のための漢方薬は妊娠後も続けて服用して問題ないのでしょうか?

 

A. 妊娠が確認された後は、服用を一旦中止するか、妊娠中でも安全な処方へ切り替える必要があります。例えば、当帰芍薬散や温経湯など一部の処方は妊娠中期まで安全に使えることもありますが、桂枝茯苓丸など子宮収縮作用を持つ処方は妊娠初期に避けるべきとされています。自己判断での継続はリスクがあるため、妊娠判明後は速やかに医師へ相談し、処方の見直しと妊娠経過に合った体調管理が不可欠です。